大勢の人前で話をしたり、初対面の人と会う時、誰でも緊張します。しかし、その緊張が異常なほど、ひどくて耐え難く、それが苦痛で人前に出ることができなくなったり、社会や学校に行くことなどができなくなるなど、日常社会生活に支障をきたす状態になる心の病気を知っていますか?「内気な性格」「あがり症」など性格の問題と思われやすく、本人自身も周囲も「病気」と認識されずに苦しむもので「社会不安障害(Social Anxiety Disorder=SAD)といいます。
このSADにかかっている人は多くいると考えられていますがこの病気に対する情報も少なく周りの理解も得られずに1人苦しんでいるのが現状です。米国などの調査によると発生頻度は、おおよそ8人に1人とされており、とてもポピュラーな疾患です。診断基準や原因解明、治療薬なども確立してきており、適切な治療・対応で治る病気です。
発症のきっかけや年齢などはさまざまで、幼いころに発症しながら病気と気づかずに「性格の問題」などと思い、我慢して日々を送っている方も多くいると考えられています。「授業中、先生に指名されて」「会議での発表を指示されて」など、いろいろなきっかけで発症したりします。SADは人前でのあらゆる場面で不安を感じるタイプを「全般型」、不安を感じる場面が1つや2つに限られているものを「非全般型」といいます。詳しい原因は研究段階ではありますが、大脳の中心部にある扁桃体という部分が、不安や恐怖の発症に関与しており、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることでその部分が過敏になり、これらの症状が出現すると考えられています。
最近ではこれらのバランスの崩れを改善する、副作用のほとんどない新しい薬が出てきており、効果もとても優れています。「はやく気付き」「すぐに専門医にかかる」「自分の判断で薬をやめない」が大切な心がまえです。
1人で悩まないで早期にご相談されることをお勧めします。 |