気分がひどく落ち込んだり、興味・睡眠・食欲・性欲などの欲求が鈍ったり、身体の様々な不調がいつまでも続いたりして、日常生活や社会生活に支障を来たす「うつ病」。厚生労働省研究班の調査によると、我が国でも約15人に1人がこのうつ病を経験しており、そのうちできちんと医療機関で治療している人は、四分の一にしかすぎなかったとの調査結果がでています。
毎年、3万人以上の自殺者が我が国では出ており、昨年は3万5千人弱の方が自ら命を絶たれています。この内の80%以上の方がうつ病であったと考えられており、きちんと治療を受けておられればこのような事はかなり未然に防げていたと考えられます。色々な症状で悩んだり苦しんでいても、本人も周囲もうつ病と気づいていなかったり、専門医への受診になかなか決断できなかったりなどが大きな理由と考えられます。
また、女性のうつ病の有病率は8.3%で、男性の4.2%と比較するとおおよそ2倍程度なりやすい傾向がみられます。
うつ病は、脳内の神経伝達物質というものの働きが低下してうまく脳細胞間の伝達が出来なくなったために起こるもので、単なる気持ちの持ちようや性格などではありません。この神経伝達物質の不調を回復させる必要のある病気です。はやい段階にきちんとした治療をうければほとんど良くなります。ただ放っておくと慢性化しやすく再発しやすくなります。治療の原則は、「しっかりとした休養」と「適切な薬の服用」です。これらのためには、本人だけでなく家族や職場などの理解協力がとても大切です。
最近では、副作用の殆ど無い新しいお薬が出てきており、効果もとても優れています。
「はやく気付き」「すぐに専門医にかかる」「しっかりとした休養をとる」「周囲がどっしり見る」「自分の判断で薬をやめない」が大切な心がまえです。
おかしいなと感じたら、早期にご相談下さい。 |